「お金に学ぶ 東大で教えた社会人学」 草間 俊介/ 畑村 洋太郎著

 

<概要>

「お金が日々の生活や人生にどのように人に働きかけてくるか?という,通常とは反対の視点で学ぼうという,東大での講義のまとめ。お金は人の活動すべてを定量化し社会の動きを説明できる唯一の道具。拝金主義の現代において,お金からの視点で人間活動を見ることでお金についての正しい知識を身につけることができ,豊かな人生に応用できるはずだ,とする提案」

 

<ひと言コメント>

共著となっていますが,草間氏の講義内容に対し畑村氏が補足するという形式の書です。お金というと自分「が」お金「を」とい視点で見がち。その結果お金「に」振り回されやすいわけで(私だけ?),であれば,逆の視点で見れば「ありたいお金への接し方」も見えてくる可能性はあるのかもしれません。同じような意味で,何かに振り回されているように感じたら,いつもと視点を変えて対象を見るとシンプルな答えが返ってくることもあるのかな?と思います。


「「お金を稼ぐ!」勉強法-「学んだこと」を「お金に変える」技術」 藤井 孝一著

 

<概要>

「「勉強=投資」という考え方と,投資に見合った回収をするという社会人のための勉強法の提案である。「投資回収する=稼ぐ」には誰かの役に立つしかない。つまり①何を学んだとき誰の役に立つのかという視点で学ぶことを選択し②その誰かのために役立つアウトプットをすることが社会人の勉強法である,とする提案」

 

<ひと言コメント>

「勉強し続けることが大切」「生涯勉強」いうような言葉があります。それを「人としての徳を養うためにすること」あるいは「子どもたちの手本となるような姿勢」というような意味でとらえる人も多いのではないでしょうか? 本書が主張するのは「稼ぐため」。テレビを見るでも本を読むでも何でもいいのですが,あまり理由を明確にせず始めるクセがついてしまっているようなら,一度立ち止まって「何のため?」を問うクセをつけてみるのはいかがでしょう? 違う自分を見つけるきっかけになるようにも思います。


「サラリーマンこそ自分株式会社をつくりなさい」 吉川 英一著

 

<概要>

「サラリーマンへのビジネス立ち上げることの提案。自分株式会社とは,経済的・時間的自由とやりたいことをやるための,自分が生きていくために必要な分だけを事業とする会社。税制変更・独立支援の国策からも,自分だけで仕事をすることは人生を豊かなものにする働き方。収入や人脈・経験があるサラリーマンは,小さなリスクで,副業⇒個人事業主を経て,自分株式会社をつくることを目指せる」

 

<ひと言コメント>

タイトルのとおり,本書はサラリーマンの方々へ,自分の会社をつくることのススメです。ここで定義されている自分株式会社は自分一人で運営する会社のこと。一人で(株式)会社を経営せよ,ということですね。会社という形で実現するのがいいのかはわかりませんが,経済的に精神的に,またほかの面も含めて,勤め先である会社だけの暮らしだったとするなら,少し周りを見てみることも必要かもしれません。もっともそこまでの会社人でなければ気にしなくていいのかもしれませんけど(苦笑)


「日本人のためのピケティ入門」 池田 信夫著

 

<概要>

「ピケティの「21世紀の資本」を,読みはじめたものの完読できないことにならないための「読み方・勘所」をコンパクトに提示しようという試み。ピケティの主張する格差拡大の原理とは? を中心に,何故欧米でこれほど読まれたか? 日本と欧米との差異などの筆者の解説」

 

<ひと言コメント>

ピケティの「21世紀の資本」は世界中で大きな反響を呼びました。本書はその解説書で一般向け入門書として位置づけられてはいます。そもそも「21世紀の資本」は経済学の最新書(経済学のベース知識は必須,ということ)であり800ページ近い大著。つまり,かなり敷居が高そうです。このような専門的な書については,入門書や解説書の価値は高い反面,正確性に問題がある場合があるのも事実です。本書との接し方は,そんな入門書や解説書との接し方の試金石なのかもしれないですね。


「フランス人は10着しか服を持たない」 ジェニファー・スコット著

 

<概要>

「モノを大量消費する生活に慣れ親しんだアメリカ人である著者がフランス留学時に学んだ,ホストファミリーを中心とした人々の暮らしのアイデアを紹介,「大事なものだけにこだわりお金をかけること=シックに生きること」を提案。大事なものにお金をかけ,ムダをしない,見栄を張らないといった価値観とそれに基づく行動は人生を豊かなものにする,とする考え」

 

<ひと言コメント>

アメリカ人である著者がフランス人の生き方・考え方・お金の使い方を学び,それをすすめる本書。「フランス人は10着しか服を持たない」というタイトルより原題の「Lesson from Madame Chic」の方が本書の内容を的確に表しているかもしれません。「大事なものにこだわり,それを自分のために使う」「一つひとつに敬意を表す」という態度はものすごくステキに感じます。日本人も同じような美意識・美徳の感覚があったのでは?